高齢化社会に向けた国の取り組み。地域医療構想の仕組みと試みについて

◆地域医療構想とは

日本が今迎えている高齢化社会において、かつてベビーブームを迎えたことで特に人口の多い「団塊世代」が75歳以上になる2025年に向けて考えられている医療構想です。

その中身は簡単にいえば「現状ある医療需要と病床の使用率を踏まえて、全国どこでも同じように質の高い、患者の状態にあった医療サービスを受けられるようにする」というもの。

今後予想される「高齢者が増加する地域」と「高齢者と若年層どちらも減る地域」において、どのような医療・病床が必要となるのか、逆にどのような医療・病床が余剰になってしまうのかという方向性の把握が始まっています。

具体的には、各都道府県の病院は県に対して、自院の病床の利用率の高さが「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」のどれに当てはまるのかをチェックし、報告するというものです。

「高度急性期」「急性期」では、事故や病気で緊急の入院が必要になった患者を受け入れ、状態安定化に向けた医療を提供します。高度がつくのは特に重篤で緊急性の高いもの、集中治療室や救命救急病棟で提供される診療密度の高い機能を指します。

「回復期」は急性期医療を終えた患者に対し、在宅復帰などに向けた医療・リハビリを提供する機能で、「慢性期」は長期にわたる療養が必要な意識障害、難病患者を入院させる機能です。

こうした現状把握から「地域に不足している病床」を平均化・充実させていくのが地域医療構想になります。